味噌汁とスープの違いは、いざ考えてみると、パッと答えられませんよね?
味噌汁は「和風」で、スープは「洋風」というのは誰でも分かりますが、それ以外にも明確な違いがあるんですよ。
味噌が入っていれば味噌汁、入っていないとスープ?
そこでここでは
- 味噌汁とスープの3つの大きな違い
- 味噌汁と各種スープのカロリーの比較
- お吸い物と味噌汁の違い
などなど、味噌汁が大好きな管理人がやさしく解説していきましょう。
味噌汁とスープの3つの違い
日本の味噌汁と西洋のスープには「汁物」という共通点はありますが、くわしく見ていくと大きな3つの違いがあるんですよ。
それがこちらの3点。
- 出汁の取り方
- 作り方
- 食べ方(食べる順序や位置づけ)
世界では味噌汁の良さが徐々に知れ渡ってきていますが、それは単に味が美味しいだけじゃありません。
そもそもスープとは、まったく違う成り立ちがあるからです。
味噌汁は日本の文化遺産かも?
味噌汁の素晴らしさを「再発見」するために、スープとの違いを確認しましょう!
味噌汁とスープの出汁の取り方の違い
味噌汁とスープの最大の違いは「出汁の取り方」にあります。
- 味噌汁⇒昆布・鰹節・煮干しを水に漬ける/煮出す
- スープ⇒肉・野菜・魚を煮込む
味噌汁の出汁は、昆布・鰹節・煮干しのどれかを水に漬けたり、煮出して取ります。
味噌汁の出汁の素材は、乾物が基本。
こうすると素材から「うま味」が染み出し、これが味噌汁の味のベースになるんですね。
※うま味とは、甘味・酸味・塩味・苦味を含めた5種類の基本味のひとつ。
昆布の「グルタミン酸」、鰹節と煮干しの「イノシン酸」がそれに該当します。
一方、スープは牛肉や鶏肉、野菜や魚などを煮込んで出汁を取ります。
この汁だけを取り出したものが「ブイヨン」であり、これを固形にしたものが市販されているスープの素(マギーブイヨン)になります。
現在の主流はインスタントの出汁
味噌汁もスープも昔は自分で出汁を取って作っていました。
しかし、現在はその工程を楽にするために「インスタントの出汁」が販売され、ほとんどの家庭ではこれを使っています。
- 味噌汁⇒顆粒だし(味の素の「ほんだし」など)
- スープ⇒洋風スープの素(「マギーブイヨン」・「コンソメ」など)
私も顆粒だしとコンソメにお世話になりっぱなし!
最近ではこれらインスタントの出汁に不満がある人の間で、昆布や鰹節などを粉末にした半インスタントの出汁が人気になっています。
味噌汁とスープの作り方の違い
味噌汁とスープには「作り方」にも違いがあります。
味噌汁はわりと短時間で作れますが、スープは長時間コトコト煮込むタイプの料理です。
味噌汁の作り方
- 昆布や鰹節で出汁を取る
- 具材を入れて煮込む
- 味噌を溶かし入れて完成
出汁を取るところから始めても完成まで30分前後。
さらにインスタントの出汁(味の素の「ほんだし」など)を使えば、この手間も全カットできます。
短時間で作れるのが味噌汁の良いところ。
毎日(朝昼晩)作るのも大変じゃないため、日本人の食卓に欠かせない汁物になりました。
スープの作り方
- 肉や魚や野菜を煮込んで出汁を取る
- 塩・スパイス・ハーブなどの調味料で味をつけて完成
ラーメン屋さんのスープが「仕込み」と称して長時間煮込む作業が必要なように、じっくりと肉・魚・野菜などを煮込まないと出汁がでません。
だから、スープをいちから作るのは大変……。
そのため日本の家庭では味の素の「コンソメ」やネスレの「マギーブイヨン」などに頼って調理時間を短縮するのが普通。
味付けは塩やスパイスやハーブなど様々なバリエーションがあり、日本では醤油を隠し味に入れたりします。
ブイヨンとコンソメの違い
顆粒スープの素には「ブイヨン」と「コンソメ」と名の付くものがありますよね?
この2つの違いがこちら。
- ブイヨン⇒出汁そのもの
- コンソメ⇒ブイヨンに味を加えたスープ
つまりブイヨンはお湯に溶かしても「ただの出汁」ですが、コンソメはお湯に溶かせば味付きのスープになるというわけ。
よってブイヨンは「出汁を固めたもの」、コンソメは「スープを固めたもの」という解釈で間違いありません。
味の素の「コンソメ」も塩分が入っているので溶かすだけでスープになります。
一方、ネスレの「ブイヨン」は塩分は入っていないので、自分で塩分を足す必要があります。
同じ用途の商品に思えますが、実は違うもの。
ちなみにレストランで供される「コンソメスープ」は、出汁(ブイヨン)に野菜や肉を加えた澄んだスープを指します。
味噌汁とスープの食べ方(順番や位置づけ)の違い
味噌汁とスープでは食べ物としての位置づけにも大きな違いがあるんです。
- 味噌汁⇒ご飯の付け合せ
- スープ⇒一品料理
和食において味噌汁は、ご飯と「ワンセット」のような扱い。
しかし、洋食においてスープはれっきとした「一品料理」の扱いなので、ややグレード的に上の存在と言えるでしょう。
そうした習慣に釣られるように食べる側の視点として、こんな差異があります。
- 味噌汁⇒飲むもの
- スープ⇒食べるもの
「味噌汁を飲む」と表現するように、ご飯やおかずをスムーズに流し込むための水分の意味合いが強い存在。
一方、スープは「ビーフシチュー」や「コーンポタージュ」など具材が多いものは特に「飲む」というより「食べる」という表現がピッタリ!
味噌汁は飲むもの、スープは食べ物。
それにくわえて、両者は食べる順番にもちょっとした違いがあります。
- 味噌汁⇒順番は自由
- スープ⇒コース料理の前菜
和食自体、すべての料理が最初に「ドンッ!」とまとめて供されるため、味噌汁はいつ飲んでもかまいません。
一方、スープはフランス料理のコースにおいては、前菜(オードブル)に続いて二番目に出てくるメニュー。
外国にある外国人が経営する日本料理屋では、味噌汁が前菜として出てきて、それを飲み干さないと次の料理がでてこないそうです。
味噌汁をスープと同じ役割だと勘違いしているからこそ生じる、悲しい勘違いなんでしょうね……。
味噌汁とスープのカロリーの違いを比較してみた!
世界的にヘルシーで健康的だと絶賛される日本食。
日本の汁物代表の味噌汁のカロリーは諸外国のスープと比較して、どれくらい違うのでしょうか?
料理の名前 | カロリー量 |
味噌汁(具なし) | 30~40kcal |
豆腐とワカメの味噌汁 | 50kcal |
豚汁 | 120kcal |
コンソメスープ | 50kcal |
コーンポタージュ | 270kcal |
コーンスープ | 170kcal |
ミネストローネ | 130kcal |
わかめスープ | 40kcal |
私たち日本人が普段飲んでいる味噌汁は、豆腐やワカメなど2~3種類の具が入ったシンプルなもの。
さすがに豚汁になるとカロリーはグッと高くなりますが、ベーシックな味噌汁ならカロリーを気にする必要はありませんね。
ほとんどのスープが高カロリー料理。
スープのなかでは比較的低カロリーなコンソメスープが味噌汁と「ほぼ同じ」くらい。
それでいて味噌汁は豆腐やワカメなど体に良い食材を摂れるので、優れた料理だと自信を持っていいのでは?
豚汁は味噌汁の仲間に入る?
豚汁は味噌で味をつけるものと、醤油で味をつけるものに分かれます(各家庭の好みや時と場合によって)。
ですから、味噌で味をつけた豚汁は味噌汁の仲間といっていいでしょう。
なお「けんちん汁」は根菜や豆腐を炒めて、醤油で味付けするので味噌汁ではありません。
スープと汁の違い
外国人からすると英語の「スープ」と日本語の「汁」には違いがあるのか、混乱するみたいですね。
しかし、この2つはまったく同じものです。
日本語での「汁」の定義は、出汁や調味料(醤油や味噌)で味をつけた水分ですから、スープとなんら変わりません。
味噌汁と味噌スープの違い
もうひとつ外国人の方からすると混乱するのが、味噌汁と味噌スープの違い。
こちらも実は違いはなくて、ただ呼び方が違うだけです。
日本語の「汁」を「スープ」と読み替えているだけですね。
海外の和食店で味噌汁が飲みたい場合は「味噌スープ」とオーダーしましょう。
味噌ラーメンと味噌汁の違い
いまや日本人の国民食になったラーメンにもミソ味があります。
この味噌ラーメンのスープは味噌汁とどう違うかというと、出汁を取る「食材」にあるんですね。
- 味噌汁の出汁⇒昆布・鰹節・煮干しのどれか
- 味噌ラーメン⇒鶏ガラ・ニンニク・生姜・ねぎを混ぜる
味噌ラーメンは鶏ガラ・ニンニク・生姜・ねぎなどを合わせて出汁を取り、そこに味噌を入れると完成します。
つまり「中華風みそ汁」が味噌ラーメンのスープ!
お店によっては煮干しや鰹節で出汁を取ることもありますが、基本ベースは「鶏ガラ」ですから、そこに明確な違いがあります。
味噌汁とお吸い物の違い
和食の汁物と言えば味噌汁の他に「お吸い物」もあります。
なんだか味噌汁よりも上品な印象がありますが、両者にはこんな違いがあるんですよ。
- 味噌汁⇒味噌で味をつけた汁物
- お吸い物⇒塩か醤油で味をつけた汁物
また、辞書の解説によるとお吸い物は「汁を主体にした汁物」とあります。
具をたくさん入れることが多い味噌汁と、汁が主体のお吸い物。「中身」の部分でも違いがあるわけです。
お祝い事の日には、お吸い物が合いますね。
私がお吸い物と聞いて連想するのは永谷園の「松茸の味お吸い物」。
これも確かに具が少なくて澄んだ汁でした。
味噌汁の「具」と「実」、どちらが正しい呼び方?
味噌汁に入れる豆腐・大根・油揚げなどの材料の呼び方は、「具」の他に「実」という呼び方もあります。
一説では、「実」という呼び方は東京の人に多いそうで、それはシジミを味噌汁に入れたときにシジミの身を「み」と呼ぶところから来ているとか。
どちらが正しい呼び方という決まりはなく、どちらの呼び方でも正解です。
関東に住む私は「具」って呼ぶ派。
ちなみにGoogleで検索してみたら
- 味噌汁 具⇒約 8,970,000 件
- 味噌汁 実⇒約 3,830,000 件
圧倒的に「具」と表記している人(記事)のほうが多いと判明しました。
まとめ
味噌汁とスープの違いは、この3点です。
- 出汁の取り方
- 作り方
- 食べ方(食べる順序や位置づけ)
味噌汁は日本で生まれた汁物であり、スープはヨーロッパで発展した料理。
私はもちろんスープも好きですが、おにぎりとかお寿司などの「THE和食」にはやっぱり味噌汁じゃないとしっくりきません。
一人暮らしで料理も得意じゃないですが、なんだかんだ1日1回は味噌汁を飲んでいますよ。
コメント
味噌汁大好きだよ
私も大好きです。笑
面白かったでーす
うれしい感想です。
ありがとうございまーす!
コーンスープが好きです。
私もコーンスープは好きです。コンポタとか。
どっちも好き!
同意見です。
学習で使って役に立ちました、ありがとうございます!!
お役に立てて光栄です。
わざわざ感謝の言葉まで残していただいて、こちらこそありがとうございます。
プレゼンタイムに使わせてもらいました。
お役に立てて光栄です!
すごくわかりやすくて、とても便利でした。ありがとうございます。
友達にも、この味噌汁とスープの資料を見せてあげようと思います。
執筆に時間がかかった記事なので、そういっていただけるとうれしいです!ぜひお役立てください。
本当に助かりましたまた楽しみにしています
お役に立てて光栄です。またお越しください。
学習に役立ちましたありがとうございます。
こちらこそご利用いただきありがとうございます。お役に立てたのなら幸いです。
学校の授業に使わせていただきました。3つの観点からわかりやすく説明していて、とても役立ちました。ありがとうございます!
こちらこそ、そう言っていただけると今後のモチベーションアップになるので大変ありがたいです。それにしても最近よく「学習に役立った」という声が寄せられるのですが、そのような授業があるのでしょうか。私の学生時代を思い返しても記憶にはないので意外な感じです(私の学生時代といえばもう20年くらい前のことですけれど……)。