- ムカデを殺してはいけない理由って何?
- 【1】ゴキブリやネズミを食べてくれるから
【2】殺すと仲間が集まってしまうから
【3】縁起が良い虫だから
【4】ご先祖様のお使いだから
こんな説があるからですが、一部はホントで、大半が俗説や迷信です。
家の中に突然現れるムカデ。
見た目が気持ち悪いだけじゃなく、人を噛むし、噛まれると超痛いのでイヤな存在ですよね?
一軒家だけじゃなく2階以上のアパートやマンションにも入り込んでくるので、ほんとやっかい。
叩いたり殺虫剤をかけたりして駆除したいのはやまやまですが、昔からムカデは殺してはいけないという言い伝えもあります。
そこで、ここでは
- ムカデを殺してはいけない理由の解説
- 4つの理由を徹底検証した結論
などなど、ムカデ嫌いな管理人がご紹介します。
ムカデを殺してはいけない4つの理由
ムカデを殺してはいけない理由は、以下の4つです。
- ゴキブリやネズミを食べてくれるから
- 殺すと仲間が集まってしまうから
- 縁起が良い虫だから
- ご先祖様のお使いだから
そうなんです。
たったひとつ理由があるのではなく、4つも理由があるために「ムカデを殺すのはダメ」説が根強く昔から語り継がれてきたんですね。
では、その内容を掘り下げて解説していきましょう。
ゴキブリやネズミを食べてくれるから
ムカデは肉食性が多く、他の虫類はもちろん、ときにはネズミや小鳥などの動物まで捕らえて食べることがあります。
なかでもゴキブリはムカデの大好物!
聞くだけでゾッとしますね……
ただ、ゴキブリは人間にしてみたら、精神的にも衛生的にもデメリットばかりの「害虫」の代表格。
ネズミは病原菌を運んだり、家や家財道具をかじって傷めるなど健康的・経済的に損害を与える存在。
それをムシャムシャと食べて数を減らしてくれるんですから、人間の役に立つ存在といえますね。
こうした人間にとってメリットがある虫を「益虫」といいます。
そんな「益」の面にクローズアップすると、ムカデは殺してはいけない理由のひとつになるわけですね。
殺すと仲間が集まってしまうから
ムカデを殺すと「他のムカデが続々と集ってくる」と昔から言われてきました。
たしかにムカデを一匹潰すと、すぐにもう一匹が姿を表すのはよくあることです。
一匹仕留めてホッとしてたら、別のムカデが出たー!
一説では、ムカデを潰したときの体液の臭いを嗅ぎつけて、仲間のムカデたちが集合するとか……。
縁起が良い虫だから
ムカデのグロテスクな見た目とは裏腹に、昔の日本人は「縁起がよい虫」だと崇め祀っていたそうです。
その「縁起の良さ」も、こんなにバリエーションが豊富。
- 毘沙門天の使い
- 商売繁盛や金運上昇のご利益
- 子孫繁栄のご利益
- 鉱脈(鉱山)の神様
それぞれどんな理由からこんな信仰が生まれたのか見ていきましょう。
毘沙門天の使い
昔の日本ではムカデは「毘沙門天の使い」と信じられていました。
その証拠に毘沙門天はムカデを纏い、毘沙門天を祀る寺院や絵馬などにムカデが描かれるケースが多く見られます。
そもそも毘沙門天とは、七福神の一人であり、特に武士に信仰されてきました。
戦国時代の武士は甲冑などにムカデをモチーフにしたデザインを取り入れるほど。
これはムカデの「前にしか進めない(逃げない)」特性を、勇ましさや力強さの象徴と捉えているからだそうです。
そんな点からムカデは「勝ち虫」とも言われ、武士にとっては勝利をもたらす縁起がよい虫というイメージがあったのでしょう。
商売繁盛や金運上昇のご利益
ムカデは漢字で書くと「百足」。
実際には100本も足はありませんが「百の足」と書くんですね。
そんな足が多いムカデの姿から
- 足が多い=客足が多くなる
- 客足が多い=商売繁盛
との連想が生まれました。
また、御足(お金)が多いとして金運アップにも結び付けられ、縁起がよい虫となったようです。
子孫繁栄のご利益
ムカデはたくさん卵を産みます。
そして、母ムカデは卵が孵化したあとも、ひとりでエサを捕れるまで「つきっきり」で子育てに奔走します。
そんな虫とは思えない愛情深い習性が「子孫繁栄」を想起させ、縁起がよい虫と信じられてきました。
鉱脈(鉱山)の神様
金銀が埋まる鉱山を採掘する人たちにとって、ムカデは山の神の使い(神様的な存在)とされていました。
その訳はムカデの形状が
- うねうねと掘り進める鉱脈に似ていた
- 鉱山の採掘坑に似ていた
など説はいろいろ。
命を賭けて危険な採掘をする人たちにとっては、忌み嫌う存在ではなく、ありがたい存在だったようです。
ご先祖様のお使いだから
昔の日本人は、外から家の中に入ってくる虫(生き物全般)を
ご先祖様が帰ってきてくださった!
虫に生まれ変わって会いにきてくれた!
と信じて、殺さなかったそうです。
一部の地域だけのようですが、その教えが祖父母から両親、子供へと伝えられています。
ムカデは家の中にずっといる虫ではなく、ときたま家に入ってくるため、家に居座るゴキブリと違って余計にそう見えてしまうのでしょう。
ムカデを殺してはいけない理由を徹底検証
それではムカデを殺してはいけない理由をひとつずつ
- 正しいのか、間違っているのか?
- ただの迷信なのか、信じるに値するのか?
徹底的に検証していきましょう。
益虫だから⇒真実!
ムカデがゴキブリやネズミを捕食するのは本当なので、人間にとって益虫なのは間違いありません。
ただ、それも昔の話。
昔はゴキブリやネズミを撃退する有効な方法がなく、手を焼いていました。
しかし、今は以下の理由からムカデの手を借りる必要はありません。
ゴキブリ駆除にはブラックキャップがあるから
現在のゴキブリ対策は、有効は方法がたくさんあります。
なかでもブラックキャップ(毒餌剤)を使えば、家から一掃するのは簡単です。
ゴキブリ駆除のために、あえてムカデを生かしておく必要はないですね。
ブラックキャップの効果や使い方はこちらの記事をご覧ください。
ブラックキャップの設置時期と交換時期。効果はいつ頃から?
現在はネズミが出る家は少ない
昔はネズミがたくさんいて、ネズミ捕りのトラップを仕掛ける家もありました。
しかし、それは昭和までの常識。
現在は一般家庭にネズミが棲み着くケースは少なく、たまに野外で見かけるくらいです。
よってムカデの出番はありません。
仲間が集まってくるから⇒デマ!
結論から言うと、ムカデを殺しても他の仲間が集ってくる科学的な根拠はありません。
人間が勝手にそう思いこんでいるだけで、ムカデ自体にそんな能力はないんですよ。
親子で行動するために誤解された
ムカデは昔から「つがい(夫婦一組)」で行動すると言われてきました。
しかし、これはただの勘違いです。
つがい(夫婦)ではなく、親子(母と子)で行動する場合があるんですね。
母親のムカデは自分の子供にエサを与えながら、独り立ちできるまで行動を共にする習性があります。
この2匹1組のムカデのうち、一匹を殺した場合、すぐ近くでもう一匹が見つかる可能性が高いわけです。
それを見た人が
ムカデを殺したら、仲間が集ってきた!
と誤解したために、この俗説が生まれたと考えられます。
フェロモンを出して仲間を呼ぶ能力はない
フェロモンを出す虫は、群れで生活するハチやアリなどの種類だけ。
ムカデは基本的に単独行動なので、そもそもフェロモンを出して仲間を呼び寄せる能力はありません。
また、たしかにムカデを潰すと体液が臭いますが、このニオイに仲間を呼び寄せる力はありません。
縁起が良い虫だから⇒信じる/信じないはあなた次第!
ムカデは縁起がよい虫と堅く信じられていたのは、科学の「科の字」もない時代。
現代の科学万能社会では、そんな迷信を信じているほうが少数派です。
もちろん、現代でも先人たちの教えを守って生きる人にとっては、無視できない情報でしょう。
すべて信じる信じないはあなた次第です。
例の都市伝説の番組みたいな結論ですが……。
ご先祖様のお使いだから⇒信じる/信じないはあなた次第!
この説も信じるか、それとも迷信・俗説だと切って捨てるかは、あなたの信心次第。
ただ、お盆のルールとしてお盆の期間中は「殺生(虫や植物の命を奪う行為)してはいけない」と決められています。
その時期だけはムカデが出ても、見逃すくらいの余裕があってもいいかもしれません。
まとめ
ムカデを殺してはいけない理由は
- ゴキブリやネズミを捕食する益虫だから
- 仲間が集まるから
- 縁起担ぎのため
- ご先祖様の使いや生まれ変わりだから
この4つでした。
益虫というのは真実ですが、現代はゴキブリやネズミ退治をムカデに任せる時代ではありません。
潰すと仲間が集まる説は、完全な誤解です。
残りの「縁起」や「信仰」の問題については、信じたい人だけ信じればいいだけの話。
大半の人は気にしないでいいと思いますよ。
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